動物実験に関する国内外の動向と新潟大学の取り組み

  • 笹岡 俊邦
    新潟大学脳研究所動物資源開発研究分野
  • 外丸 祐介
    広島大学自然科学研究支援開発センター総合実験支援・研究部門動物実験部
  • 吉木 淳
    理化学研究所バイオリソース研究センター・実験動物開発室

書誌事項

タイトル別名
  • Domestic and International Trends in Animal Experiments and the Implementation System at Niigata University.

抄録

<p>わが国において,動物実験は,動物を教育,試験研究又は生物学的製剤の製造のため,その他の科学上の利用に供することと定義されている.動物実験の実施体制は, 2006年までに改正又は発出された法令等,すなわち「動物の愛護及び管理に関する法律(環境省)」,「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(環境省)」,「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(文部科学省)」,「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン(日本学術会議)」等のもとで,機関長が最終責任者となり,実施機関が機関内規程を作成し,動物実験の適正な実施を行うという,実施機関による機関管理の体制が整備された.この機関管理の骨格は,研究者が自由闊達で創造性豊かな科学研究を行うにあたり,研究者が動物愛護に配慮した実験計画の立案と実験の遂行に責任を持つこと,そして実施機関の機関長が動物実験の機関内規程を定め,動物実験委員会を設置し,動物実験計画の承認,及び動物実験計画の実施結果の把握その他動物実験の適正な実施のために必要な措置を講じること,とされるように,実施機関が動物実験の適正実施に責任を持つことである.大学や研究所等の動物実験実施機関では,動物実験計画は,前記の法令等並びに実施機関の規則等のもとで,機関内の動物実験委員会が計画書の適正性を審査し,機関長の承認を得て,動物実験が実施されている.また,しばしば実験動物以外の野生動物などを用いる実験や,動物実験施設以外の場所での実験計画も申請される.当該計画書を審査する動物実験委員会では,実験動物を用いる場合や動物実験施設における実験と異なる点について,適正な実施に向けて,関連情報の収集,様々な手続きや工夫をおこなっている.本稿では,国立大学法人動物実験施設協議会(国動協)の担当の教育研修委員会に相談された実験計画の事例,及び新潟大学での実験計画の事例を紹介する.具体的には,(1)国動協の教育研修委員会「なんでも相談室」に寄せられた事例として,有害鳥獣捕獲の対象となった野生動物を用いた研究などの事例への対応,(2)新潟大学の事例として,国内の海洋に生息する海鳥(ウミネコ)を対象とした研究,島に生息するシマヘビを対象とした研究を紹介する.</p>

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