ウガンダ・カンパラ大都市圏(1989-2021)における丘陵地形と都市空間の拡大

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書誌事項

タイトル別名
  • The relationship between hilly landscape and urban spatial expansion in Greater Kampala Metropolitan Area, Uganda (1989-2021)
  • An analysis using Landsat data
  • ―Landsat衛星画像を用いた分析―

抄録

<p>1. 背景と目的</p><p> ウガンダ共和国の首都カンパラは、比高差50-100mの丘陵に都市が広がる特有の景観から、「七つの丘の街」として知られる。カンパラはウガンダ国内の政治・経済の中心であり、農村からの人口流入と自然増によって人口が増加し、未利用地や耕作地に新しく居住地が建てられることで都市空間が拡大し続けている。</p><p> 近年急速に都市化が進むグローバル・サウス都市において、都市空間の拡大を定量的に測定し分析する方法として衛星画像解析が進められてきた1)。本報告の対象地であるカンパラ大都市圏においても先行研究はあるものの2)3) 、これらは2000-2010年代の土地利用を可視化するにとどまり、丘陵地形による影響を受けながら都市空間が拡大していくプロセスは明らかにされていない。</p><p> 本研究では、カンパラ大都市圏における都市空間の拡大のプロセスを明らかにすることを目的に、Landsat衛星画像データを用いて、1990年代から2020年代まで10年ごとに4時期でカンパラ大都市圏の土地利用を分類し、数値標高データを用いて土地利用の通時的な変化と地形の関係を定量的に分析する。</p><p></p><p>2. 研究対象地域</p><p> カンパラ大都市圏は、ウガンダ南部のビクトリア湖畔に位置する首都カンパラ市を中心に、隣接するムコノ県とワキソ県にまで連続的に市街地が広がる都市圏である。カンパラ大都市圏では、1990年の121万から2020年の464万まで年率約4.7%で人口が増加しており、近年では都心部に比べて都心から5-15km離れた近郊地域や衛星都市周辺、都市外縁部で特に人口増加が顕著である。</p><p></p><p>3. 方法</p><p> 本研究ではUSGSの提供するLandsat衛星画像を用いた。雲量の少ない乾季に撮影された画像を目視で確認し、Landsat5 TM(1989 年2 月27 日)、Landsat5 TM(2001 年11 月27 日)、Landsat5 TM(2010年1 月28 日)、Landsat8 OLI(2021 年12 月12 日)の4枚を選抜した。画像解析にはQGIS3.22.14を使用した。アルゴリズムには教師あり分類であるサポートベクターマシン(SVM)を採用し、プラグイン”dzetsaka classification tool” 4)を用いて、建造地、森林、耕作地、湿地、水域、その他の6カテゴリーに土地利用を分類した。分類後に建造地以外の5分類を非建造地として統合し、各時期の画像を建造地/非建造地に分類した。</p><p></p><p>4. 結果</p><p> 精度評価より、分類の全体精度は86.4-98.4%であった(N=250)。</p><p> 1989年時点で建造地は35.1km2であり、うち21.6 km2がカンパラ市中心部であった。2001年には276.0km2、2010年には457.0km2、2021年には657.5 km2と、建造地は32年間で約19倍に拡大した。</p><p> 建造地は都心部の丘陵上部・斜面部から形成されてきた。都心から5km以内では、2001年時点で総面積の約90%を占める73.1 km2が建造地化し、都心から5-10kmの地域では、2021年までに総面積の約88%を占める198.5 km2が建造地化した。都心から10km以上離れた地域では、幹線道路沿いや、都心から約15kmに位置するムコノやガヤザ、ワキソ、カジャンシといった衛星都市の周辺から、多中心的に建造地化が進んでいる。また2010年以降では、都心から15km以上離れた都市外縁部の丘陵上に、カンパラ大都市圏と連続していない離散した建造地が新しく形成されている。</p><p></p><p>参考文献</p><p>1) Murayama, Y., Simwanda, M., and Ranagalage, M. 2021. Spatio-temporal analysis of urbanization using GIS and remote sensing in developing countries. Sustainability 13 (7): 3681.</p><p>2) Nyakaana, J.B., Sengendo, H., Lwasa, S. 2007. Population urban development and the environment in Uganda: The case of Kamapala city and its environs.</p><p>3) Vermeiren, K., Anton, V.R., Maarten, L., Eria, S., and Paul, M. 2012. Urban Growth of Kampala, Uganda: Pattern Analysis and Scenario Development. Landscape and Urban Planning. 106 (2): 199–206.</p><p>4) Karasiak N. 2016. Dzetsaka Qgis Classification Plugin.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018384729458816
  • DOI
    10.14866/ajg.2024s.0_120
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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