ブータンにおける学校の分布とその変化

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タイトル別名
  • Distribution and the Change of Schools in Bhutan
  • A Case of School Establishment and Consolidation in Trashigang District
  • タシガン県における学校設立と統廃合を事例に

抄録

<p>Ⅰ.はじめに ブータンはGNH(国民総幸福)の指針のもと,経済成長と文化振興や環境保全などのバランスを重視した政策を通して国民の幸福の実現を目指していることで知られている.GNHで掲げられている政策の一つが教育の充実であり,ブータンはヒマラヤ地域に位置する山岳国家ながらも農村部に小規模校を普及してきた歴史を有する.しかし,近年は農村からの急速な人口流出が課題となっており,学校の統廃合を進める政策がとられている.本研究は,人口流出が進む地域の一つであるブータン東部タシガン県を事例に,学校の分布とその変化の実態を明らかにすることを目的とする. Ⅱ.学校の分布とその変化 ブータンで近代教育が一般に開かれだしたのは1950年前後とされており,全国に本格的に学校教育が普及されたのは第1次五カ年計画(1961-1966)以降であるとされている.また第6次5カ年計画(1987-92)以降では,Extended ClassroomやCommunity Schoolなど称される小規模校が積極的に設立され,教育普及に大きく寄与したとされている.これら小規模校の普及は,建設や運営に地域住民の労務も得て実現した(平山 2014,平山 2015).ブータン教育・技能開発省HPにおいて公開されている,2002年度以降の教育統計(一部年度は公開されていない)によると,タシガン県内の小学校数(小学校学級を有する中等教育機関を含む.特別支援学校を除く)は2010年代に大きく減少しており,2023年度では県内の小学校数は50となっている.教育の質向上などを目的にCentral Schoolと呼ばれる大規模校が制度化され,統廃合が進行している. Ⅲ.学校統廃合による影響 2010年代以降進んだ学校統廃合によって,通学時間の増加が発生している地域や,寮生活を余儀なくされる地域が発生している.5歳児学級に相当するPP(Pre Primary)クラス在籍児童が寮生活を送る例もある.謝辞 本研究の一部には,京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター臨地教育・国際連携支援室2023年度海外エクスプローラープログラムを用いました.また本研究は,国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業「ブータン国東部タシガン県における大学―社会連携による地域づくりに関する人材育成開発支援」に参画中に実施しました. 文献 平山雄大 2014. 1980年代後半のブータンにおける近代学校教育政策の特徴-『第6次5ヵ年計画』(1987~1992年)の分析を中心に-. 早稲田大学大学院教育学研究科紀要別冊 22(1): 83-94. 平山雄大 2015. 1990年代前半のブータンにおける近代学校教育政策の特徴-『第7次5ヵ年計画』(1992~1997年)の分析を中心に-. 早稲田大学大学院教育学研究科紀要別冊 23(1): 85-98.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018384729461632
  • DOI
    10.14866/ajg.2024s.0_127
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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