高精細多層地表情報を用いた景観をまたぐ相互接続性の解明に向けて
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- 早川 裕弌
- 北海道大
書誌事項
- タイトル別名
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- Utilizing high-definition multilayered earth surface data to explore connectivity across landscapes
抄録
<p>近年、高精細な地形データの取得が容易になり、地表プロセスや地生態学的な相互作用に焦点を当てた地球科学研究に大きく貢献している。高精細多層地表情報(High-definition Multilayered Earth Surface Data, HiMESD)は、比較的短期的なスケール(主に日単位から10年単位)での地形景観発達を調査する上で有用であり、とくに空間的・時間的な次元での相互連結性(コネクティビティ)の概念に重点を置くことで、その有機的な活用が期待できる。地上および空中からのプラットフォームに搭載される、さまざまなセンサを通じて取得されるHiMESDは、空間統計や人工知能といった解析手法とあわせることで、土砂輸送、水文的ネットワーク、植生回復、都市形成など多様な領域における相互連結性の定量化と理解に革命をもたらしつつある。さらに、HiMESDは、地球科学や周辺領域における学際的な協働を促進し、従来の分野的境界を超えて、自然科学と社会科学の間に新たなつながりを確立するための極めて重要なツールとなりうる。また、科学研究者でない、地域住民などのコミュニティ構成者が自らHiMESDの利活用に参加することで、地域環境の理解の促進や、参加型の市民科学、さらには防災減災、より良い日常生活の実現など、HiMESDの社会実装の可能性を最大化できる可能性がある。</p><p> 本発表では、HiMESDを用いた研究事例として、地考古学的な現・古環境調査や、大規模崩壊斜面の地形・地表環境変化モニタリング、3D地形模型工作のワークショップといった事例をいくつか紹介しつつ、HiMESDの活用と、地べたに根差した相互接続生「ジオコネクティビティ」の可能性について議論する。</p>
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2024s (0), 87-, 2024
公益社団法人 日本地理学会