超音波検査とMRI検査で陰嚢内多結節状腫瘤の所見を呈した傍精巣線維性偽腫瘍の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of paratesticular fibrous pseudotumor presenting as a multinodular mass in the scrotum on ultrasonography and magnetic resonance imaging

抄録

<p>傍精巣線維性偽腫瘍(paratesticular fibrous pseudotumor)は陰嚢内に発生する稀な良性腫瘍である.術前の悪性腫瘍との鑑別はしばしば難しいものの,腫瘍と精巣の剥離が可能であれば,特に若年者では精巣温存が望ましい.今回我々は,精巣温存が可能であった傍精巣線維性偽腫瘍を経験したため報告する.症例は30歳代男性.左陰嚢腫大を認め,超音波で陰嚢内充実性腫瘤を認めたため当院紹介受診した.当院で施行した超音波検査Bモードでは,肥厚した精巣鞘膜と連続性を有する多結節状の低エコー腫瘤を認め,カラードプラ法では腫瘤に軽度の血流シグナルを認めた.MRI検査ではT1強調像,T2強調像, 拡散強調像のいずれも低信号を示し,中等度の造影増強効果を認めた.悪性腫瘍も鑑別と考え手術を施行し,精巣との癒着は目立たなかったため,精巣は温存し陰嚢内腫瘤切除術を行った.病理組織学的には,腫瘤は高度に硝子化した線維組織を本体とし,炎症細胞の集簇が散在しており,精巣鞘膜由来の線維性偽腫瘍との最終診断に至った.精巣鞘膜と連続する多結節状の腫瘤で,超音波検査で低エコー,MRI検査のT1強調像,T2強調像,拡散強調像で低信号を示す腫瘤をみた場合,傍精巣線維性偽腫瘍が鑑別の上位に挙げられ,術中に精巣との剥離が可能であれば精巣温存ができることもある.</p>

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 advpub (0), 2024

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (21)*注記

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