臓器連関を活用した新しい治療戦略―脳腸軸を介したうつ病治療への挑戦―

  • 池田 豊
    筑波大学 大学院数理物質系
  • 長崎 幸夫
    筑波大学 大学院数理物質系 筑波大学 大学院フロンティア医科学

書誌事項

タイトル別名
  • Challenge for the treatment of depression based on gut-brain axis
  • ゾウキ レンカン オ カツヨウ シタ アタラシイ チリョウ センリャク : ノウ チョウジク オ カイシタ ウツビョウ チリョウ エ ノ チョウセン

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抄録

近年、脳と腸が脳腸軸と呼ばれる伝達系を介して密に関連していることが明らかとなってきている。腸を良好な状態に保つことで脳腸軸を介して脳疾患への治療効果が期待され、多くのアプローチがなされているが、その腸内環境を改善するための手段としては、糞便移植やプロバイオティクス等に限られている。筆者らは腸環境を破壊する大きな原因の一つとして、腸内の酸化ストレスに着目し、腸内環境を酸化ストレスから保護することで、脳腸軸を介して脳機能にも保護効果をもたらす新しい治療戦略を目標に掲げた。そこで、腸選択的に滞留し、腸内酸化ストレスを消去する抗酸化ナノ粒子(siSMAPoTN)を設計し、慢性拘束うつ病モデルマウスに経口投与したところ、腸内環境を酸化ストレスから保護し、血中のストレスホルモン量やIL-6、さらには脳海馬中の神経栄養因子にも効果を示し、マウスうつ様症状を改善した。

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参考文献 (6)*注記

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