がん病態におけるANGPTL2シグナルの機能

  • 門松 毅
    熊本大学大学院生命科学研究部分子遺伝学講座
  • 尾池 雄一
    熊本大学大学院生命科学研究部分子遺伝学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Roles of ANGPTL2 signaling in cancer pathology
  • ガン ビョウタイ ニ オケル ANGPTL2 シグナル ノ キノウ

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抄録

生体では,組織の損傷修復による恒常性維持機構が存在するが,その過剰応答や応答不全は,慢性炎症や不可逆的組織リモデリングを引き起こし,さまざまな疾患の発症・進展につながる.ANGPTL2は,その生理機能として,損傷修復による組織の恒常性維持に重要な役割を果たしているが,一方で,そのシグナル過剰状態は,慢性炎症や不可逆的組織リモデリングを引き起こし,生活習慣病やがんの発症・進展に寄与する.がん病態では,ANGPTL2による恒常性維持機構の過剰応答が,発がんやがん転移を促進する.さらに最近,抗腫瘍免疫に対して,がん細胞由来ANGPTL2は抑制的に作用するが,間質細胞由来ANGPTL2は促進的に作用することが明らかとなった.本稿では,がん病態におけるANGPTL2シグナルの機能について概説する.

収録刊行物

  • 生化学

    生化学 96 (2), 241-254, 2024-04-25

    公益社団法人日本生化学会

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