骨髄系腫瘍におけるDNA脱メチル化薬の分子作用機構

DOI
  • 藪下 知宏
    熊本大学 国際先端医学研究機構 東京大学薬学系研究科 分子腫瘍薬学 東京大学大学院新領域創成科学研究科 先進分子腫瘍学分野
  • 北村 俊雄
    東京大学薬学系研究科 分子腫瘍薬学 神戸医療産業都市推進機構 先端医療研究センター
  • 合山 進
    東京大学大学院新領域創成科学研究科 先進分子腫瘍学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Molecular mechanism of DNA hypomethylating agents in myeloid tumors

抄録

<p>DNA脱メチル化薬とされているdecitabine(DAC)の作用機序・耐性機構の本質を明らかにするためにMDS/AML細胞株を用いて,全ゲノムCRISPR-dCas9 activationスクリーニングを行った。その結果,DACの治療抵抗性には有糸分裂制御が関与すること,DACは複数の骨髄系腫瘍細胞株に対して臨床的に達成可能な低濃度で高度な有糸分裂異常を誘導することが明らかになった。また,このようなDACによる有糸分裂進行の障害は,DNMT1の低下やDNA脱メチル化ではなく,DNMT1-DNA架橋によって引き起こされることがわかった。本研究により,DACの骨髄系腫瘍に対する作用機序を考えるうえで,DNA脱メチル化作用のみならず,DNMT1-DNA架橋産物による直接的な影響を考慮する重要性が示唆される。さらに,DACとATR/CHK1阻害薬の併用が多くの骨髄系腫瘍細胞株で有効であること,一部の白血病細胞株においてはHMG-CoA還元酵素阻害薬と相乗的な細胞増殖抑制効果を確認した。これらの併用療法は,DACの治療抵抗性を改善する一助となることが期待される。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 65 (4), 209-221, 2024

    一般社団法人 日本血液学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018506585379840
  • DOI
    10.11406/rinketsu.65.209
  • ISSN
    18820824
    04851439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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