ジャン=リュック・ゴダール『映画史』における過密化するモンタージュ技法についての分析

書誌事項

タイトル別名
  • An Analysis of the Crowded Montage Technique of Jean-Luc Godard’s “Historie(s) du cinéma”

抄録

ヌーヴェル・ヴァーグを代表する映画監督、ジャン=リュック・ゴダールが製作した作品群の中でも、とりわけ特異な作品として挙げられるものに『映画史』がある。90年代のゴダールは、『ヌーヴェルヴァーグ』1)のような大衆映画としての側面を持つ作品を製作する一方で、これまでの彼のキャリアの集成とも呼べる長編映画『映画史』の製作に取り掛かり、8年の年月をかけて完成させた。本研究では、『映画史』より第二章『2A』を選択し分析を行う。その背景として、1978年にゴダールがモントリオールで行った『映画史』についての講義録を参考にしながら、ゴダールの製作意図や、創作上の方法論について整理する。その上で、ゴダールの特徴であるモンタージュ技法(諸イメージの並置)こそが、複数の映画からの引用と接続の中で、直接的に複数の視座を作り出す要因(単一の視点から紡がれた歴史には、必ず漏れがある)であり、であるが故に、ゴダールが考える「真の映画の歴史」を表現しうる形態であることを確認する。

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