《再生》する詩的言語

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  • ――小林秀雄と中原中也における〈哀悼〉の交錯――

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本論は、小林秀雄と中原中也における非明示的な共振性を、テクストの〈推敲〉、死者への〈哀悼〉を手がかりに論じる。従 来、両者の作家的性質は対照的とされてきた。だが、〈死者〉表象にまつわる彼らの推敲行為をたどることで、すでに完成された詩を幾度も書き換えてゆく中原の緻密な推敲と、小林の批評文・訳文におけるそれとが同質の問題を抱えることが分かる。その内実を検証することより、それぞれの作品において、死者の記憶を編み直し、新たな〈詩的言語〉によって《再生》させる仕組みが明らかとなる。「富永太郎」(1925年)から「中原中也の思ひ出」(1949年)に至る小林の詩人への哀悼の軌跡は、彼に固有な「詩」の創出の過程でもあった。

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