非典型疹で発症した乳児のランゲルハンス細胞組織球症
書誌事項
- タイトル別名
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- Infantile Langerhans Cell Histiocytosis Occurring with Unusual Cutaneous Manifestation
抄録
<p>患者:4 カ月,男児 </p><p>主訴:顔面,躯幹,四肢に散在する黄橙色~紅色丘疹</p><p>既往歴:特になし </p><p>現病歴:初診 30 日前に前医でジフテリア,破傷風,百日咳,ポリオ,ヒブ,肺炎球菌,ロタウイルスのワクチンを受けた。同 23 日前に頚部,股部に紅色丘疹が出現し近医でベタメタゾン吉草酸エステル軟膏を処方されたが体幹,四肢に増数してきたため当院を受診した。ステロイド外用で遷延した水痘を疑いフェノール・亜鉛華リニメントを 2 週間外用したが難治であった。 </p><p>現症:顔面,躯幹,四肢に散在性に多発し(図 1 a),一部臍窩や痂皮を伴う黄橙色~紅色丘疹(図 1 b,c)がみられた。脂漏性皮膚炎様症状や眼球突出はなかった。 </p><p>病理組織学的所見:腹部の痂皮を伴う紅色丘疹より生検した。表皮・痂皮下の真皮にくびれた核と淡い好酸性胞体の異型細胞が密に増殖し,少数の核分裂像(1~2/HPF)がみられた(図 2 a,b)。表皮内には一部に微小膿瘍の形成もみられた(図示なし)。免疫組織化学染色では腫瘍細胞は S100 蛋白陽性,CD1a 陽性,Langerin 陽性,CAM5. 2 陰性であった(図 2 c~f)。 </p><p>画像検査所見:単純 X 線では頭蓋骨,上肢長管骨に異常はなく,造影 CT でも脳内病変,リンパ節腫大や肝脾腫はみられなかった。 </p><p>血液検査所見(下線は異常値を示す):白血球 10,700/μl(好中球 21%,好酸球 2.0%,好塩基球 1.0%,単球 1.0%,リンパ球 74%,異型リンパ球 1.0%),赤血球 507 万/μl,血色素 13.5 g/dl,血小板 36.1 万/μl,CRP 0.00 mg/dl,AST 43 U/l,ALT 31 U/l,γ-GTP 9 U/l,水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)-IgM 0.15(-),VZV-IgG 5.4(+) </p><p>診断:ランゲルハンス細胞組織球症(LCH) </p><p>治療および経過:確定診断後,画像検査,採血検査にて異常所見なく,無治療で経過観察をしていたが,生後 9 カ月頃に皮疹が増悪した。4 週間のプレドニゾロン 1 mg/kg 内服により皮疹は速やかに消退したため約 2 カ月かけて漸減中止し,以後は若干の出没を繰り返しつつもステロイド外用薬のみで制御可能であった。初診後 3 年 3 カ月現在,半年毎の採血と 1 年毎の MRI 検査で多臓器病変の出現はみられていない。 </p>
収録刊行物
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- 西日本皮膚科
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西日本皮膚科 86 (2), 113-114, 2024-04-01
日本皮膚科学会西部支部
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390018616996363520
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- ISSN
- 18804047
- 03869784
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可