活性型ビタミン D3 外用薬により高カルシウム血症を生じた尋常性乾癬の 1 例

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タイトル別名
  • A Case of Hypercalcemia Induced by Topical VitaminD3 Treatment in a Psoriatic Patient
  • カッセイガタ ビタミン D3 ガイヨウヤク ニ ヨリ コウカルシウム ケッショウ オ ショウジタ ジンジョウセイカンセン ノ 1レイ

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抄録

<p>56 歳,男性。20 代で尋常性乾癬を発症し,約 30 年間外用を主とした治療を受けており,6 年前からはマキサカルシトール / ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏(マーデュオックス®)を毎日,適正使用上限量(10 g/ 日)使用していた。X 年 11 月,嘔気や倦怠感が持続するため近医内科より当院内科へ紹介となり,高カルシウム(Ca)血症,急性腎不全,尿管結石の診断で緊急入院となった。精査の結果,乾癬に対して外用していたマキサカルシトールが原因と考えられ,内科的治療に加え,外用薬の種類を変更し使用頻度と量を減らすことにより高 Ca 血症と腎機能障害は改善した。活性型ビタミン D3 (VD3)は表皮細胞の分化と増殖を制御する作用を持ち皮膚科では主に角化異常症の治療に用いられるが,Ca 代謝や免疫の調節にも重要な役割を担っている。国内の VD3 外用薬による高 Ca 血症は自験例を含め 27 例の報告があり,小児や高齢者の使用,腎不全の既往,ステロイド外用,エトレチナートやシクロスポリンの内服が高 Ca 血症のリスク因子となることが示唆されている。近年,重症の乾癬患者に対する治療法は生物学的製剤が主流となりつつあるが,軽症例,年齢や併存疾患,経済的問題などから依然外用薬も多く使用されている。リスクを有する患者に VD3 外用薬を使用する際は定期的に Ca 値や腎機能を確認し,脱水を避けるなどの予防策の指導を行う必要がある。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 86 (2), 136-142, 2024-04-01

    日本皮膚科学会西部支部

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