<i>PTCH1</i> 遺伝子に新規の変異と考えられるバリアントが同定された Gorlin 症候群の 1 例

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タイトル別名
  • A Case of Gorlin Syndrome with A New <i>PTCH1</i> Gene Variant Having Pathogenic Significance

抄録

<p>34 歳,女性。数年前から鼻根部左側に 4 mm のドーム状に隆起する黒色結節を自覚し,精査目的に当科を受診した。外科的切除を行い,病理組織学的には表皮と連続性に異型を伴う基底細胞様細胞が胞巣状に増殖しており,基底細胞癌と診断した。既往歴では 11 歳の頃から多発顎骨囊胞の摘出を計 5 回行っており,病理組織学的には角化囊胞性歯原性腫瘍であった。また,初診の 2 年前,右卵巣腫瘍摘出術を行っており,病理組織学的には線維腫であった。以上より Gorlin 症候群を強く疑い,後頭部右側と左下眼瞼の結節も切除し,いずれも基底細胞癌であった。自験例では複数の基底細胞癌(鼻根部左側,後頭部右側,左下眼瞼)と角化囊胞性歯原性腫瘍,卵巣線維腫を認め,診断基準の大項目の 2 項目を満たし,Gorlin 症候群と診断した。MRI では大脳鎌石灰化や髄芽腫,トルコ鞍の骨性架橋は認めず,掌蹠の小陥凹,大頭症もみられなかった。肋骨奇形,先天奇形,骨奇形,椎骨変形,手足のモデリング変形,手足の火焔様透過像などの放射線学的異常については X 線による精査は行っていない。また,明らかな家族歴はなかった。後日遺伝子検査を行い,PTCH1 遺伝子のバリアントが確認された。今回われわれが発見したバリアントは PTCH1 遺伝子の 1 塩基置換によるミスセンスバリアントであり,過去のデータベースに記載のないバリアントである。in silico 解析でも病的意義ありとされており,新しい遺伝子変異であると考える。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 86 (2), 151-155, 2024-04-01

    日本皮膚科学会西部支部

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018616996367616
  • DOI
    10.2336/nishinihonhifu.86.151
  • ISSN
    18804047
    03869784
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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