転倒打撲後の血腫から芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍と診断した 1 例

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タイトル別名
  • A Case of Blastic Plasmacytoid Dendritic Cell Tumor Diagnosed from Hematoma After Fall Contusion

抄録

<p>75 歳,男性。肺癌の既往があった。初診 5 カ月前に転倒し,その後左眉毛部に血腫を形成し,改善がないため前医を受診した。左眉毛部から前額部にかけ,暗紫紅色斑を伴う硬結がみられ,その間内服と外用療法後も改善はなく,精査加療目的に当院を紹介され受診した。初診時は左眉毛部に 43×33 mm のドーム状に隆起した表面暗紫紅色の結節があり,弾性硬で波動は触れなかった。皮下血腫や血管肉腫などを疑い同部位より皮膚生検を施行した。病理組織学的所見(HE 染色)は真皮浅層から皮下組織にかけて稠密な好塩基性の異型細胞の浸潤がみられた。表皮直下の真皮浅層における膠原線維間と腫瘍胞巣内に多数の赤血球が漏出していた。免疫組織化学染色にて CD4,CD56,CD123,TCL1 が陽性で芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍と診断した。Hyper CVDA plus IT 療法開始後,硬結,色調は改善傾向であり,7 クール施行し,硬結は消退した。化学療法は心房細動の副作用のため 7 クールで中止したがその後現在まで寛解を維持している。芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍は非常に稀な悪性リンパ腫であり,症例の中には転倒の有無に関係なく打撲後紫斑様の皮膚症状を呈し赤血球の漏出を伴う症例も存在する。また予後不良例が多く,多彩な臨床所見を呈することが多いためわれわれ皮膚科医も認知する必要があると考える。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 86 (2), 156-159, 2024-04-01

    日本皮膚科学会西部支部

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018616996372736
  • DOI
    10.2336/nishinihonhifu.86.156
  • ISSN
    18804047
    03869784
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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