四肢コンパートメント症候群の治療経験

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抄録

<p>コンパートメント症候群は筋区画内圧の上昇により神経と筋に阻血性壊死が生じる疾患で,診断と治療の遅れが重篤な機能障害を残すため,早期の確実な診断が重要となる.今回,過去10年間に当科で筋膜切開を施行した症例の診断・治療経過につき考察を加えたので報告する.症例は男性8例,女性6例であり,平均年齢は50歳(14-84)であった.部位は下腿が10例,前腕が4例であり,原因は打撲や動脈損傷,クラッシュ症候群などの外傷によるものが7例,膝関節授動術後が1例,抗凝固薬による組織内出血が1例,急性動脈閉塞症に対する血栓除去術後が5例であった.6P兆候と筋区画内圧により総合的に診断し,可及的速やかに筋膜切開術を施行した.発症時期が不明で,症状が亜急性に進行した症例が3例あり,診断に苦慮した.また血栓除去術後にコンパーメント症候群を発症した例が多く,動脈閉塞の虚血症状と類似しているため,筋膜切開の適応には他科と連携した慎重な判断が必要であった.区画内圧の平均値は70 mmHgであったが,ばらつきも多く,症状との総合的診断が重要と思われた.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018672472969088
  • DOI
    10.5035/nishiseisai.73.320
  • ISSN
    13494333
    00371033
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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