昆明・モントリオール生物多様性枠組の目標・ターゲット・指標:その内容 と有用性の解説
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- 池上 真木彦
- 国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域
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- 角 真耶
- 国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域
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- 石田 孝英
- 国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域
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- 山野 博哉
- 国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域
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- 香坂 玲
- 東京大学大学院農学生命科学研究科 森林科学専攻
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- 石濱 史子
- 国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域
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- 亀山 哲
- 国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域
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- 小出 大
- 国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域
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- 小林 邦彦
- 一般社団法人海外環境協力センター
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- 富田 基史
- 一般財団法人電力中央研究所 サステナブルシステム研究本部
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- 角谷 拓
- 国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域
書誌事項
- タイトル別名
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- Goals, Targets, and Indicators of the Kunming-Montreal Biodiversity Framework
- コンメイ ・ モントリオール セイブツ タヨウセイ ワクグミ ノ モクヒョウ ・ ターゲット ・ シヒョウ : ソノ ナイヨウ ト ユウヨウセイ ノ カイセツ
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説明
カナダモントリオールで開催された第15回COP15において「昆明・モントリオール生物多様性枠組(Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework:KMGBF)」が採択された。KMGBFは現在の生物多様性の危機を打開し回復基調に乗せるため、30by30などの野心的な目標を多く設定されており、また4つのゴールと23のターゲットのうち、2つのゴールと8つのターゲットが数値目標となっている。先住民や女性といったマイノリティへの配慮が各所に見られ、気候変動枠組条約や持続可能な開発目標(SDGs)等の要素も加わりより包括的な目標となっている。また、KMGBFでは、各国の達成度合いを測定するため世界共通で利用される指標が用意され、その報告と評価のためのプラットフォームも準備されていている。このため、KMGBF全体として愛知目標に比べてSMART(Specific Measurable Ambitious Realistic Time-bound)であると言える。その一方で、包括的であるがために文章が長く複雑となり、目標間で重複する要素も多く差異がわかりにくいものも生じている。また各国で共通して利用可能な指標を優先したためか、目標達成を測るには適さないと考えられる指標も散見され、その一部は今後開かれる専門家会議に委ねられることとなっている。本稿では採択された目標・ターゲットとその達成の目安となる指標に着目し、各目標と指標を愛知目標と比較しつつ、その要点と今後必要な情報、そして国内での整備状況や内外の動向などを解説し、KMGBF達成のために必要な行動を考えるものである。
収録刊行物
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- 日本生態学会誌
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日本生態学会誌 74 (1), 85-, 2024
一般社団法人 日本生態学会