緩消法における押圧の強さおよび押圧面積の違いが,腰背部の筋弛緩に与える影響の検討
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説明
【目的】 緩消法は筋に軽い押圧を加えながら筋活動を行わせる手技であり, 5~10分の短時間で痛みを伴わずに筋を弛緩させることができる. 筋膜性腰痛患者を対象とした先行研究では,10分間の緩消法により 腰部筋の筋硬度が低下したと報告されているが,押圧力や押圧面積 が不明確であった.本研究の目的は,緩消法による筋の弛緩効果を 再検証し,筋弛緩に最適な押圧力および面積を検討することである. 【方法】 研究参加に同意の得られた健常成人39名を対象とした.被験者は 端坐位をとり,施術者が一側の腰背部に押圧棒を当てた状態で, 随意的に体幹の側屈運動を5分間行った.側屈運動は,左右15度 の位置に印をつけた鏡を目安に毎分60回に設定したメトロノーム に合わせて行った.研究にあたり,押圧力を常時目視でき,押圧 面積を変えられる押圧棒を作製した.押圧力は,押圧なし,250g, 500g,750g,1000g,押圧面積は,直径1cm,2cm,3cmと した.側屈運動の開始前後に,押圧部の筋硬度を筋硬度計により 連続5回測定し,最大と最小を除く3回の平均を代表値とした.この 値を用い前後比(運動後/ 運動前)を求め,押圧力および押圧面積 の各条件について,反復測定の分散分析,多重比較法により分析 した.統計解析はRコマンダーを用い,危険率は5%未満とした. 【結果】 押圧力の前後比の平均は,押圧なし:0.97,250g:0.95,500g: 0.85,750g:0.87,1000g:0.88であり,500gと750gが押圧 なしおよび250gよりも有意に低下した.押圧面積では1cm:0.85, 2cm:0.87,3cm:1.06と,1cmと2cmが3cmよりも有意に低下 した. 【考察】 緩消法は筋を短時間で弛緩可能であり,押圧力500~750g,押圧 面積は直径1~2cm が最も効果的であると考えられた. 【結論】 緩消法は筋を弛緩する有用な手技である. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究の趣旨,自由意志に基づいた研究であることなどについて, 書面を用いて説明し,同意を得た後に実施した.本研究は東京国際 大学および武蔵台病院の倫理審査において承認を得ている.
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 42 (0), P-028-, 2023
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390018971038969344
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可