Interpretation of the Requirements for Unannounced Audits that Provide Exceptions that Allow Tax Audits to be Conducted without Prior Notice : Issues of the Tokyo District Court's October 6, 2021 Judgment

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  • 事前通知をしないで税務調査を行うことができる例外を定めた無予告要件の解釈 : 東京地裁令和3年10月6日判決の諸問題
  • ジゼン ツウチ オ シナイデ ゼイム チョウサ オ オコナウ コト ガ デキル レイガイ オ サダメタ ムヨコク ヨウケン ノ カイシャク : トウキョウ チサイ レイワ 3ネン 10ガツ 6ニチ ハンケツ ノ ショモンダイ

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本稿は,無予告要件(国税通則法74条の10)の解釈が示された裁判例(東京地裁令和3年判決)を素材に,この裁判例に含まれる解釈論上の諸問題を検討するものである。無予告要件とは,事前通知をしないで税務調査を行うことができる例外として定められた,無予告調査の手続要件を指す。この判決に含まれる解釈論上の諸問題は,具体的には3つある。第1に,無予告要件の解釈適用である((1))。第2に,無予告理由の説明義務の有無である((2))。第3に,無予告要件を満たさないにもかかわらず,事前通知なくして行われた税務調査(無予告調査)に基づく課税処分の適法性である((3))。これらの諸問題について,本稿が提起した視点は,要旨,以下のとおりである。(1)については,解釈論としては,本判決の無予告要件の判断基準は,通知不要規定が事前通知の原則の例外規定であることに触れることなく示されたもので,事前通知が不要になるのは例外であるという条文上の構造が,軽視されているように思われる。その適用面(あてはめ)をみても,本件においてその例外としての無予告調査を認めるほどに,課税庁保有情報からXに通知支障要件に該当する行為を行うおそれが客観的にあったといえたのかについて,疑問が残る。(2)については,本判決は,税務調査開始時に納税者が無予告理由の説明を求めた本件の事実関係を踏まえた検討を行っていない。これは,一般的に明文がないことのみを理由に,説明義務を否定するもので,緻密な検討が不十分であったように思われる。また,本判決は,平成23年改正の趣旨を,従来の税務調査の実務を確認した規定であると解釈した。この点については,同改正で創設された事前通知規定の意義を没却するおそれがある。(3)については,終了時の結果説明を欠く税務調査に基づく課税処分の適法性が争われた裁判例として,近時,平成23年改正の趣旨を汲んだ解釈もあらわれている(東京高裁令和4年判決)。しかし,事前通知を欠いた税務調査(無予告要件を満たさない調査を含む。)に基づく課税処分等については,この解釈がそのまま妥当するとは思われない。事前通知を欠いた税務調査に基づく課税処分等について,どのような要素を考慮して当該処分の適法性を判断すべきかについては,今後の裁判例の集積が必要になる。

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