セルフケアにおける水流洗浄器の臨床的機能評価

  • 生川 由貴
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座(口腔治療学教室)
  • 柏木 陽一郎
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座(口腔治療学教室)
  • 前田 昂佑
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座(口腔治療学教室)
  • 富永 翔太郎
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座(口腔治療学教室)
  • 野﨑 一徳
    大阪大学歯学部附属病院口腔医療情報部
  • 村上 伸也
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座(口腔治療学教室)

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Functional Evaluation of Oral Irrigators in Self-care

説明

<p> 目的:オーラルセルフケアにおいて,機械的プラークコントロールに使用する道具は大きく歯ブラシと歯間清掃器具に分けられる.本研究は,歯間清掃器具の一つである水流洗浄器の使用を歯ブラシによるセルフプラークコントロールに付加することで,プラーク付着量と歯肉の炎症程度に変化が生じるか否かを検証し,セルフプラークコントロールにおける水流洗浄器の有用性を評価することを目的とする.</p><p> 材料と方法:水流洗浄器具は,ジェットウォッシャー ドルツ ナノクレンズ(EW-NJ80;パナソニック,以下,NJ80)および従来型のジェットウォッシャー ドルツ(EW-DJ55;パナソニック,以下,DJ55)の2種類を用いた.対照群の歯間清掃器具はデンタルフロスとし,Y字タイプのデンタルフロス(クリニカアドバンテージ デンタルフロスY字タイプ;ライオン,以下,Dental Floss)を使用した.本臨床検査実施歯科医師に対して盲検化を施し,被験者60名をNJ80,DJ55,Dental Flossの3群に分類した.全群ともブラッシング指導は行わず,これまでどおりのオーラルセルフケアを行ったうえで,同上3種類の補助的清掃用具の使用をそれぞれ追加した.初回来院時および1カ月間の使用期間後に臨床検査(GI,PD,PCR,PISA,PESA)を実施した.</p><p> 結果:GIスコア2以上を示す部位率について,1カ月間使用した後の検査結果をそれぞれの群内にて比較したところ,NJ80(54.0±4.4→43.6±4.1%,p<0.01)とDJ55(52.6±4.6→44.3±4.3%,p<0.05)において,GIスコア2以上を示す部位率の有意な減少が認められた.PD 4mm以上の部位率について,NJ80(10.8±2.9→8.2±2.6%,p<0.01),DJ55(10.5±2.0→7.9±1.9%,p<0.05),Dental Floss(10.1±3.1→8.4±3.2%,p<0.05)で有意な減少を認めた.PCRは3群すべてにおいて改善が認められたが,特にNJ80とDental Flossにおいて有意に改善(p<0.01)が認められた.PISAについて,NJ80(887.2±97.9→712.6±87.9mm2,p<0.01)とDJ55(875.2±94.1→726.3±88.3mm2,p<0.05)で有意な減少を認めた.PESAは全群で有意な減少を認めた(p<0.05).各器具の使用期間後のアンケートを行った結果,他群と比べてNJ80では使用中の歯ぐきへのやさしさを感じられたとの感想を多く得た.</p><p> 結論:通常の歯ブラシによるブラッシングに水流洗浄器EW-NJ80を併用することは,より簡便な隣接面のプラークコントロールに有用である可能性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • 日本歯科保存学雑誌

    日本歯科保存学雑誌 67 (3), 174-182, 2024-06-30

    特定非営利活動法人 日本歯科保存学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390019204223930880
  • DOI
    10.11471/shikahozon.67.174
  • ISSN
    21880808
    03872343
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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