乳癌術前化学療法(FEC療法)中に網膜静脈閉塞症による片側性の黄斑浮腫を発症した 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of unilateral macular edema due to retinal vein occlusion during neoadjuvant chemotherapy (FEC) for breast cancer
  • ニュウガン ジュツゼン カガク リョウホウ FECリョウホウ チュウ ニ モウマク ジョウミャク ヘイソクショウ ニ ヨル ヘンソクセイ ノ オウハン フシュ オ ハッショウシタ 1レイ

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説明

症例は60歳女性。検診で右乳癌が疑われ、精査により浸潤性乳管癌の診断となった。術前化学療法としてDTX療法(docetaxel)4サイクル終了後にFEC療法(5-FU+epirubicin+cyclophosphamide)を開始した。FEC療法2サイクル目投与中に、左眼の視力低下が出現し、翌日に左眼底に出血を伴う網膜静脈分枝閉塞症および嚢胞状黄斑浮腫を確認した。FEC療法を中止し、非ステロイド性抗炎症点眼薬(NSAIDS点眼薬)投与、抗血管内皮増殖因子抗体薬(抗VEGF抗体薬)の硝子体内注射による治療を開始した。その後も3か月毎に抗VEGF抗体薬投与を行ったところ、徐々に黄斑浮腫は改善、視力は治療開始 1 年後に回復した。これまでにタキサン系の抗癌剤で黄斑浮腫が出現した報告はあるが、FEC療法の副作用で黄斑浮腫が出現したとの報告はなく、本症例は希少な症例と考えられた。また、抗癌剤治療の際には眼副作用の予防、発症の早期検知、早期治療を心掛ける必要がある。

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