マクロファージおよび概日時計機構に着目したバンコマイシン誘発性腎障害の発症機構解析

書誌事項

タイトル別名
  • Mechanism analysis of vancomycin-induced kidney injury focused on macrophages and circadian rhythm

説明

<p>【目的】</p><p> 抗生物質バンコマイシン(VCM)は院内感染治療の切り札の一つであるが、急性腎障害を頻発するという臨床上の大きな問題がある。しかしその詳細な発症機構は十分に解明されていない。一方、時刻を考慮した薬剤の投与はしばしば副作用を軽減する (時間薬理学)。これは概日時計機構に制御される多くの生理機能に概日リズムが認められるためである。VCM誘発性腎障害と概日時計機構の関連は未解明であるため、時間薬理学を基盤とした解析が副作用軽減とその機構解明につながると可能性がある。そこで本研究では、VCM誘発性腎障害に及ぼす概日時計機構の影響について解析を行った。</p><p></p><p>【方法】</p><p> 片方の腎臓を摘出したマウス(UNx)およびマウスの腹腔マクロファージ様細胞株であるRAW264.7細胞を用いて各種解析を行った。</p><p></p><p>【結果・考察】</p><p> 明期である9:00または暗期である21:00にVCMを尾静脈投与したUNxマウスの腎臓病態を評価した。その結果、9:00投与時のみ腎障害が認められた。この原因を探索するため、VCM投与後の腎臓を対象にオミクス解析を実施したところ、骨髄性白血球の関与が示唆された。そこで、腎臓に浸潤した好中球およびマクロファージの細胞数をフローサイトメトリー法により測定した結果、マクロファージ (Mφ)の細胞数にのみ投与時刻依存的な差異が認められた。さらに、クロドロン酸リポソームを用いてMφを特異的に死滅させた際の腎臓病態を評価した結果、腎障害が抑制された。そこでMφの概日時計機構に着目し、デキサメタゾンによる時計遺伝子の同調 (DEX shock)を行ったRAW264.7細胞を用いた検討を行った。その結果、VCM曝露による炎症性サイトカイ発現誘導はDEX shock後の経過時間によって有意に異なっていた。本研究の成果は、概日リズムを考慮したVCMによる治療の最適化および単球/マクロファージを標的としたVCM腎障害治療法につながることが期待される。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390019844830551424
  • DOI
    10.14869/toxpt.51.1.0_p-16e
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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