製薬企業におけるPDE/OEL設定
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- 黒岡 貴生
- EAファーマ株式会社
書誌事項
- タイトル別名
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- PDE/OEL setting in the pharmaceutical company
説明
<p>医薬品製造現場においては、次に製造される医薬品への混入(交叉汚染)防止や製造物質の曝露から労働者を保護する観点から、医薬品ごとに残留あるいは作業者曝露の限度値を設定することが必要である。研究所においては、実験者に対する労働安全衛生の面からも限度値を設定することが必要である。</p><p>医薬品製造現場においては、2021年に国内GMP省令が改正され、その公布通知において毒性学的根拠に基づいてPDE等の限度値を設定することが要求されたことにより、限度値設定にあたって毒性研究者が関与する機会が増えてきている。</p><p>毒性学的根拠に基づくPDE設定の方法としては、2018年にPIC/S(医薬品査察協定・医薬品査察協同スキーム)から発効されたHBEL(健康に基づいた曝露限度値)設定ガイドラインやICH Q3C医薬品の残留溶媒ガイドライン等が参考となる。しかし、医薬品ごとに有する試験の種類やデータが異なるため、広範囲のデータを基にケースバイケースでPODや調整係数を選定する必要があり、薬理学や毒性学の知識とともにPDE設定の経験が重要となる。</p><p>製薬企業の毒性研究者が限度値設定を行う際の留意する点として、医薬品開発における毒性評価と異なり、薬理作用も有害作用とみなす点が挙げられる。その理由は、交叉汚染でも作業者曝露でも、他疾患の患者や作業者が当該医薬品を意図せずに摂取してしまう可能性を考慮しなければならないためである。</p><p>本発表では、一般的なPDE設定の流れを説明するとともに、製薬企業における限度値設定に携わった経験から、設定にあたり担当者が苦慮する点について解説する。また、医薬品開発の各ステージに応じた限度値設定やその中での毒性研究者の関わり方について紹介する。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 51.1 (0), S29-3-, 2024
日本毒性学会