大乗経典における法蔵部的要素――八セット四十一法の二つの用例――

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  • A Dharmaguptaka Trait in the Mahāyāna Sūtras? Two Examples of the Eight Sets of Forty-One <i>Dharma</i>s
  • A Dharmaguptaka Trait in the Mahayana Sutras? : Two Examples of the Eight Sets of Forty-One Dharmas

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説明

<p> 八セット四十一法――四念処,四正勤/断,四神足,四禅,五根,五力,七覚支,八聖道――の研究は,これまでほとんど行われることがなく,八セット四十一法が言及されたとしても法蔵部に帰属するか否かを巡る議論に終始してきた.八セット四十一法という定型句は,仏教文献に広く見られる七セット三十七法/三十七菩提分法に比例するものであり,明らかに異なる伝承に属していたものである.したがって,八セット四十一法を詳しく分析することは,古代インド仏教の伝承史の解明に大きく貢献することが予想される.</p><p> そこで,本稿はこれまで指摘されたことのなかった――同時に,これを加えて八セットの用例が網羅されたことになる――二つの用例を提示し,分析を加える.この二つの用例は,『佛説菩薩行方便境界神通変化経』と『大威德陀羅尼経』であり,いわゆる「大乗」経典に属する経典である.この両用例は特異な伝承状況を示している.前者は異訳間で八セットなのか七セットなのかが異なっており,伝承の相違が見出せる.そして,後者は八セットと七セット/三十七菩提分法とが並列して現れる.こうした例はこれまで指摘されたことがほとんどなく,インド仏教の研究に新たな展望をもたらすものである.</p>

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