VA-ECMO補助時の左室脱血が全身および冠循環に及ぼす影響
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説明
<p>重症心原性ショック患者において、Veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation(VA-ECMO)は総血流量・血圧を確保する救命デバイスである。一方、逆行性のポンプ送血は、心臓にとっては負荷となり肺水腫を引き起こすこともあり、臨床では、遠心もしくは軸流ポンプによる左室除負荷(LV venting)を行う。LV ventingの臨床的有用性は数多く報告されているが、冠循環を含めた系統的循環動態理解は未だ不十分であり、VA-ECMO+LV ventingの機械管理は症例数が多い施設における臨床工学技師の熟練によって成り立っている現状がある。本研究では、VA-ECMO下のLV ventingが循環動態と左室負荷、冠血流に及ぼす影響を犬正常心および不全心モデルで検証した。計5匹の全身麻酔下ビーグル犬を使用し、VA-ECMOとLV ventingを確立した。冠動脈左前下行枝の結紮により不全心かつショック状態を作成し、同時に動脈圧、左室圧、冠動脈血流量(左回旋枝)を記録した。VA-ECMO は血圧および冠血流を増加させる一方で、正常心におけるLV ventingの追加は冠血流を低下させた (正常: 45±12 vs. VA-ECMO: 70±20 vs VA-ECMO+LV venting: 45±13 mL/min)。また、不全心ではその傾向は弱まった。LV venting時は、左室仕事量の減少を介した自動調節能により冠血流は必ずしも血圧に追従しないことが明らかとなった。左室仕事量とそれに伴う冠循環変化を考慮した機械操作を行うことが最適なVA-ECMO管理・離脱につながる。</p>
収録刊行物
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- 生体医工学
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生体医工学 Annual62 (Abstract), 167_1-167_1, 2024
公益社団法人 日本生体医工学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390020474931427328
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- ISSN
- 18814379
- 1347443X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可