患者誤認に関するインシデント・アクシデントレポートの分析 −誤認の発生要因の関係−

  • 神谷 美紀子
    市立池田病院医療安全・質管理部安全対策室 京都橘大学看護学研究科看護学専攻
  • 上田 真愉未
    市立池田病院医療安全・質管理部安全対策室

書誌事項

タイトル別名
  • An Analysis of Reports on Incidents/Accidents Related to the Misidentification of Patients – Relationships among Factors Influencing Patient Misidentification –
  • 患者誤認に関するインシデント・アクシデントレポートの分析 : 誤認の発生要因の関係
  • カンジャ ゴニン ニ カンスル インシデント ・ アクシデントレポート ノ ブンセキ : ゴニン ノ ハッセイ ヨウイン ノ カンケイ

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説明

目的:当院のインシデント・アクシデント報告を分析することにより,患者誤認の状況や特性を明らかにし,患者誤認を防止し早期発見するための効果的な対策について検討する. 対象と方法:1年間のインシデント・アクシデント報告のうち,患者誤認に関する141件の内容の「原因職種」, 「誤認の種類」,「誤認した内容」,「インシデント・アクシデントの事象レベル」,「誤認の主因」,「誤認による患者への影響」,「発見者」,「報告職種」を要因として,要因間の関係を分析した. 結果:誤認の主な原因である「名前確認中のエラーや違反」における患者誤認は医療者間で発見されることが多く,「並行業務中の交錯」における患者誤認は患者や家族によって発見されることが多く,有意差が見られた(p<0.05).また,「名前確認中のエラーや違反」が患者に与える影響は未実施である事象レベル0が多く,「並行業務中の交錯」における誤認は事象レベル1以上になることが多かった(p<0.05).さらに,看護師と他の職種を比較すると,看護師が原因となった患者誤認は医療者間で発見されることが有意に多く,患者や家族間での発見が少ないことが示された(p<0.05). 結論:患者誤認防止には,並行業務を避けるための教育と仕組みづくりを行い,医療者はもとより患者参加による確認行動を促し,これらの取り組みを組織で推進し続けることが有効であることが示唆された.

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