職場のいじめ被害経験と職場における対人傾向との関連

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タイトル別名
  • The relationship between experiences of bullying in the workplace and interpersonal relations

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問題と目的:職場のいじめに関する心理学的研究では,職場でのいじめ被害者への影響について焦点をあ てた検討は行われているが,被害者がなぜいじめられるに至ったのか,その要因について検討している研究が少 ない。そこで本研究では,職場における対人傾向が,職場のいじめ被害経験にどのように影響をしているのかを 検討した。 方法:民間企業や公的機関に所属する成人の労働者300 名を対象に,質問紙法による調査を実施した。そのうち,回答を得られた262 名(男性105 名,女性157 名,平均年齢42.79 歳,標準偏差= 11.98,回答率87.7%)を分析対象とした。 結果:「職場のいじめ被害経験尺度」について,一次元構造であるかを確認するために,主成分分析を行った結果,尺度の一次元性が確認された。また,「職場における対人傾向尺度」について探索的因子分析を行った結果,3 因子(「積極的思考」,「自己開示傾向」,「同僚との交流」)が抽出された。次に,両尺度に対して信頼性分析および検証的因子分析による構成概念妥当性の検討を行った結果,統計学的に一定の信頼性係数(Cronbach’s α係数)と適合度指標が得られた。さらに,「職場における対人傾向尺度」の各下位尺度を独立変数,「職場のいじめ被害経験尺度」を従属変数とした重回帰分析を行った結果,「職場における対人傾向尺度」の各下位因子が,「職場のいじめ被害経験」の規定要因となっていることが確認された。 考察:分析の結果,明るく,積極的で,人間関係を上手く築く自信があると認識しているパーソナリティ特性を持つ者,職場において自主的な自己開示が可能なパーソナリティ特性を持つ者は,職場のいじめ被害経験を高く認知している傾向にあることがわかった。一方,同僚と私生活でも親密な付き合いを希求する要素を持つ者や,職場での飲み会に参加することを楽しみにする者は,職場のいじめ被害経験を低く認知している傾向にあることがわかった。

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