長下肢装具を用いた歩行介助時における歩行介助技量向上に向けた取り組み

Bibliographic Information

Other Title
  • -リハビリ実習モデル人形の活用-

Search this article

Description

【はじめに】 脳卒中治療ガイドライン2021では,膝伸展筋筋力もしくは股 関節周囲筋筋力が十分でない患者に対して,長下肢装具(以下, KAFO)を使用することは妥当であるとされている.また,KAFO を用いた後方からの歩行介助は,患者自身で歩行することが困難 な重度脳卒中片麻痺患者に対して行われることが多いとされてお り,当院においても同様である.しかしながら,歩行介助方法は 個々の理学療法士の経験や技量に依存しており標準化が難しいの が現状である.そこで,当院ではリハビリ実習モデルあゆむ君(以 下,あゆむ君)を用いて理学療法士の技量向上を目指した練習方法 を導入しているため紹介をする. 【長下肢装具を用いた歩行介助技量の現状】 経験が浅い介助者の場合,患者と介助者による身体動揺の差が大 きくなると報告されている. 【あゆむ君を用いた歩行練習方法】 多くの施設では,理学療法士同士での歩行介助練習を行い一定の 習熟度に達したのち,患者に対しKAFOを用いた歩行介助を実施 するかと推察される.しかしながら,被験者の筋収縮加減によっ ては,患者の重症度を再現しきれない可能性がある.そこで,当 院ではあゆむ君にKAFOを装着し,歩行介助練習を実施している. あゆむ君の下半身には計6個のバネ(両股関節・両大腿部・両足 関節)が使用されており,歩行周期における立脚後期のTrailing Limb Angle(大転子から第5中足骨頭へのベクトルと垂直軸のな す角度.以下,TLA)拡大を図ることにより,バネが伸長されエネ ルギーを蓄積する.その後,遊脚初期以降は蓄積されたエネルギー が元に戻ろうとしバネが縮み,あゆむ君の下肢が振り出される設 計となっている.よって,歩行速度,重心移動やTLA拡大を念頭 においた歩行介助練習を実施している.実際の介助練習風景はポ スターに貼付している二次元コードを読み取り動画を参照いただ きたい. 【限界と展望】 現段階においてあゆむ君を用いた歩行練習方法が理学療法士の 経験や技量向上に寄与できているかは不明である.しかしながら, あゆむ君は適切な重心移動やTLA拡大が図れた場合に下肢の振り 出しが行われるため,理学療法士同士での練習よりも患者と介助 者による身体動揺の差を減らすことに寄与できる可能性を秘めてい ると考えており,今後は検証を行う必要があると考える. 【倫理的配慮】 本研究は当院における取り組み紹介であるため,該当しない.

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390021481777170816
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.43.0_240
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
  • Abstract License Flag
    Disallowed

Report a problem

Back to top