日本語課題文章作成時の過程と意識はWeb検索・言語生成AI使用の有無によってどう異なるか

書誌事項

タイトル別名
  • How Do the Process and Attitudes of Writing Japanese Task Texts Differ Depending on Whether Web Search and Language-generating AI is Used?
  • Based on a Survey of Three Chinese Graduate Students
  • 中国語母語話者大学院留学生3名に対する調査結果をもとに

説明

本研究では、最近の言語生成AIツールの普及状況を踏まえ、ある程度の日本語アカデミック・ライティングのスキルを有する書き手が、Web検索とAI使用の有無の条件下でどのように課題文章の作成に取り組んでいるか、その作成過程と意識を探るため、同一の日本語学習者に調査を行った。対象者は、日本語上級者の中国語母語話者大学院生3名であり、2023年に課題文章(600字以内)の作成画面(AI無し課題①)、Web/AI有り課題②をそれぞれ録画し、インタビューを行った。その後、6編の文章を、自己評価に加え、日本語教師3名が評価した。課題①では課題指示文が要求するキーワードを全員が強く意識して書き進めた。課題②は全員がテーマ検索から始めたものの、英語文献を英中翻訳機能を用いて速読・引用した後にAI出力を取り込んで自己の文章と組み合わせる、日本語論文の検索結果とAI出力結果から取捨選択して自己の文章でつなぐ、日本語Web記事を日中翻訳機能を用いて速読して自己のアイデアとつなぐ等、個別性が見られた。所要時間は全員課題②のほうが長く、課題②の自己評価が高かったのは1名のみで、全員が複数情報源から制限字数内に論理的な文章を導出する困難さに言及した。剽窃の危惧は全員が意識した。教師評価が課題①より②が高かったのは1名のみであり、課題①②で同一順の評価傾向が見られた。以上から、少なくとも600字程度の制約の多い文章課題においては、必ずしもWeb・AIの使用が上級者にとって課題の容易化につながらないことが確認された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390021525788239360
  • DOI
    10.11448/jtje.26.43
  • ISSN
    21857881
    13451995
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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