臓器移植トレランスを目指した臨床開発の世界的動向と本邦におけるトレランス誘導の試み

Description

<p>臓器移植における免疫寛容は、臓器別に免疫抑制療法や代替治療、拒絶反応のモニタリング法や診断法が異なるため、免疫寛容の臨床的メリットと実施における安全性リスクは賛否両論である。従来のドナー骨髄キメラ誘導による中枢性寛容は、全身リンパ放射線照射法やリンパ球枯渇化学療法によるプレコンディショニング法により安全安定的な効果を発揮してきた。またエフェクターT細胞の除去や制御性T細胞(Treg)の増殖に焦点を絞った免疫制御法は、肝移植では末梢トレランス誘導アプローチとして研究が進んでおり、腎移植では低用量タクロリムス/エベロリムス単剤による免疫抑制最低用量化の手段として用いられている。特にTregに着目したアプローチは、近年低用量IL-2や抗IL-2抗体などの生体アプローチや体外で誘導して移入するTreg細胞製剤の開発が従来のアカデミアから企業へと主体が変わりより標準化した方法が普及してきている。また寛容誘導の予測バイオマーカーによる患者選定や、移植臓器由来のセルフリーDNA測定による潜在的拒絶反応の予測精度の向上により、免疫抑制剤の減量による拒絶反応発症が長期的患者安全性はより高いレベルで担保されるようになった。免疫寛容の海外の最新知見と本邦の生体肝移植における免疫寛容誘導の多施設協同の医師主導治験の経験のもと、次世代の臨床・基礎・多職種・企業連携の基盤と国際的な活躍する人材の育成が大切であると思われる。</p>

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