表面電子分光法における信号の減衰は 如何に記述されるか? VIII. 相対論的Full Penn アルゴリズムおよび 相対論的単極近似によるバンドギャップを有する物質に おける広いエネルギー範囲に渡るIMFPの計算とその比較

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  • How Is the Signal Attenuation in Surface Electron Spectroscopy Described? VIII. Calculation and Comparison of IMFPs Using Relativistic Full Penn Algorithm and Relativistic Single Pole Approximation by Penn across a Wide Energy Range in Materials with Band Gaps

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バンドギャップ(Eg)を有する物質における非弾性平均自由行程(IMFP, Inelastic mean free path)の計算においてFull Penn algorithm(FPA)を用いる方法について解説した.また,100 keVを超えるような高エネルギー領域におけるIMFP を計算するために相対論補正をFPA およびPenn の単極近似(SPA, Single pole approximation)に施す際の詳細について解説した.IMFP計算におけるEgの効果には2つの要素がある.一つは電子のエネルギー損失の最小値と最大値が変化すること,二つは Eg の存在のために変化する運動量移送をどのように表現するかである.これらについてはBoutboul ら [T. Boutboul et al., J. Appl. Phys. 79, 6714(1996) ]の方法を参考にして開発されたFPA-BABC [H. Shinotsuka et al., Surf. Interface Anal. 54, 534 (2022) ]について解説した.FPA,SPA への相対論補正の適用については,500 keV 以下のエネルギー領域では電子の運動に対して相対論的動力学補正を行えば良いので,比較的簡単に組み込むことができる.また,相対論的SPAと相対論的FPA-BABCが与える200 eVから500 keVにおけるIMFPについて,45種類の無機化合物,14種類の有機化合物で比較検討を行った.その結果,計算したSPA-IMFPとFPA-BABC-IMFPはこのエネルギー領域では,両者の相対差の平均値は無機化合物ではおよそ2%以下,有機化合物では1%以下であった.両者の最大の相違は200 eV- 500 keVのエネルギー範囲でおよそ3%であった.以上から,Eg を有する物質について,200 eV- 500 keVのエネルギー範囲のIMFPの計算に相対論的SPAは相対論的FPA-BABCと同様な正確さで使用することができることが分った.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390022609604372352
  • DOI
    10.1384/jsa.31.101
  • ISSN
    13478400
    13411756
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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