ヒンドゥスターニー古典音楽におけるラーガの演奏・教授・聴取

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タイトル別名
  • Performing, Teaching, and Listening to Ragas in Hindustani Classical Music

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説明

ヒンドゥスターニー古典音楽(北インド古典音楽)の骨格をなすのが「ラーガ」である。本稿では,量的調査と質的調査を組み合わせながら,今日のラーガの演奏・教授・聴取の実態について論じた。第一に,ラーガの特性や分類に関する歴史的研究の変遷を辿った上で,ラーガに関する複数のデータソースを「知識層」「演奏層」「規範層」という 3 つの階層から比較分析することによって,現代におけるラーガの演奏の実態について解明した。第二に,ラーガの教授のプロセスに焦点を当て,学校機関と伝統的な師弟制度の両側面を対象に,学習カリキュラムの分析や音楽家・学習者へのインタビューといった質的調査から検証した。第三にラーガの聴取という聴衆の観点から,音楽院におけるラーガの認知に関する聴取実験の結果やインド国内外の演奏の場の調査を踏まえて,ヒンドゥスターニー古典音楽におけるグローバル化の影響,そして聴衆の育成という課題について最後に指摘した。 従来のラーガ研究はラーガの体系化や象徴性といった理論的研究や,ラーガの演奏表現に関する研究が主流であったが,本研究ではラーガの演奏を複数のデータから量的分析したことによってこれまで曖昧であったその演奏の実態を数値的に実証した。また演奏研究だけではなく,ラーガの学習過程や聴取・認知の側面も包括的に検証したことで,古典音楽の継承や発展に必要な課題を抽出することが可能となった。

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