TNF-α阻害薬治療中に多量の心膜液貯留を認めた関節リウマチの1例

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  • Massive pericardial effusion on anti-TNF alpha therapy for rheumatoid arthritis : A case report

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抄録

症例は56歳, 男性, 心疾患の既往なし. 1999年慢性腎不全で血液透析開始. 2009年関節リウマチと診断, 薬物治療の効果不十分で, 2010年 9月からTNF-α阻害薬アダリムマブ (40mg, 2週間に 1回) 開始. 以後関節症状は改善傾向を示したが, 約 4カ月後の2011年 1月心エコーで中等量の心膜液貯留を認めた. 約 1カ月後の 2月発熱, 胸部圧迫感にて入院, 心エコーで多量の心膜液貯留と心タンポナーデの所見を認めた. また抗核抗体陽性 (<40→ 320倍), 抗DNA抗体陽性 (2.5→6.5 IU/mL), 血清補体価低下 (30→6U/mL) を認め, アダリムマブの副作用であるループス様症候群に伴う心膜液貯留と診断した. 入院後心窩部からエコーガイド下に心膜穿刺を施行, 約1,200mLの浸出液を排除するとともにヒドロコルチゾンを投与した. 以後心膜液の再貯留なく経過し, プレドニゾロンとIL-6阻害薬の投与で 3月退院した. TNF-α阻害薬治療中の関節リウマチ患者では心膜液の出現に注意する必要がある.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 45 (10), 1249-1253, 2013

    公益財団法人 日本心臓財団

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