先天性冠動脈左前下行枝欠損と巨大冠動脈瘤を伴った肥大型心筋症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of hypertrophic cardiomyopathy with a congenital absence of left anterior descending coronary artery and a giant coronary artery aneurysm

この論文をさがす

説明

<p> 症例は41歳,男性.幼少時より肥大型心筋症と診断され,近医で経過観察中であった.今回,動悸を主訴に紹介受診.肺炎による洞性頻脈と診断し,抗生剤加療にて動悸は軽快した.入院時の胸部CTにて肺動脈近傍に周囲に石灰化を伴う腫瘤様陰影を認めた.心臓CT,冠動脈造影での精査の結果,左回旋枝中枢側より発生する壁在血栓を伴う冠動脈瘤を認め,左前下行枝は起始部より完全に欠損していた.左回旋枝は心尖部を介して心筋前壁側へ回り込み,左前下行枝の近位部に接続し,そこから順行性に小さな左前下行枝を認めた.また右冠動脈も起始部より紡錘状に拡張していた.冠動脈奇形の多くは起始異常や冠動脈瘻であり,本例に認められた左冠動脈前下行枝欠損は冠動脈そのものの異常であり,頻度は極めて少ないとされる.今回われわれは,先天性左冠動脈前下行枝欠損に加え,冠動脈瘤を合併した肥大型心筋症の1例を経験した.肥大型心筋症に冠動脈瘤を合併した報告例はあるが,本例のようにさらに先天性冠動脈左前下行枝欠損を合併した例はわれわれが検索しえた範囲では他に報告はなく,今回の報告が初めての症例であると思われたため報告した.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 48 (12), 1364-1370, 2016

    公益財団法人 日本心臓財団

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ