大規模臨床試験を受けてのASV使用の今後~診療報酬の問題も踏まえて

DOI
  • 葛西 隆敏
    順天堂大学循環器内科・心血管睡眠呼吸医学講座

書誌事項

タイトル別名
  • The future of the use of ASV following a large-scale clinical trial—problems on the reimbursement system

抄録

<p> Adaptive servo ventilation (ASV) は心不全患者に高頻度に合併する中枢性睡眠時無呼吸を伴うチェーンストークス呼吸 (CSR-CSA) に対する非侵襲的陽圧呼吸療法の新たなモードとして開発され, わが国では2006-2007年にASVが使用可能となった. ASVは在宅人工呼吸器として健康保険の適応とされ非侵襲的陽圧呼吸療法として呼吸不全に対して, 心不全のCSR-CSAやOSAを混在するCSR-CSAに対して, また, 心不全への減負荷療法として睡眠呼吸障害の存在の有無を問わず使用されてきた.</p><p> 2014年の診療報酬改定でASVを使用する際は在宅人工呼吸器のカテゴリーでの診療報酬の請求はできないことを強調する文章が追記されたが, その後の疑義解釈などによって心不全のCSR-CSAに対してはCPAPの指導管理料と在宅人工呼吸器の機器加算を組み合わせることで暫定的に保険診療下での使用が可能とされた. その後, 2015年5月にASVを用いた大規模臨床試験であるSERVE-HF研究において副次評価項目である心血管死亡がASVで有意に増加するということがプレスリリースされ世界的に混乱をきたした.</p><p> わが国では日本循環器学会・日本心不全学会の合同ステートメントが出され必要な症例では継続的に使用することが可能であることが示されたが, いまだ混沌とした状況である.</p><p> 本セッションでは, New England Journal of Medicineに報告されたSERVE-HF試験に関する論文から明らかになったSERVE-HF試験に関するさまざまな問題点と, それも踏まえての今後の使用について言及し, 2016年4月の診療報酬改定における位置づけなども踏まえて議論する.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 48 (10), 1223-1223, 2016

    公益財団法人 日本心臓財団

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679025752320
  • NII論文ID
    130006745748
  • DOI
    10.11281/shinzo.48.1223
  • ISSN
    21863016
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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