左室収縮能正常の肥大型心筋症として加療中に心臓突然死したファブリー病の女性例

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  • A sudden death case of female Fabry disease who has been treated as hypertrophic cardiomyopathy with normal systolic function

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抄録

<p> 症例は55歳女性, 家系では長男, 妹と甥2人の合計4名がファブリー病で酵素補充療法中. 現病歴では40歳時にラクナ梗塞に罹患も麻痺なく退院. その後, 肥大型心筋症と診断されて加療していたが53歳時に発作性心房細動となり当院へ紹介. 無汗症, 四肢末端痛はなし. 当院初診時, エコーで左室壁厚15mm, EF 77%と著明な左室肥大を認めた. 直流除細動後シベンゾリン内服し以後再発なし. 酵素補充療法を検討中であったが, 約2年後, 胸痛ののち心肺停止状態となり, 近医に搬送されるも死亡した. 肥大型心筋症は, そのなかに心ファブリー病の症例があるため無汗症, 四肢末端疼痛, 家族歴を確認する必要がある. 四肢末端痛が軽いと日常生活の支障が少ないため酵素補充療法へのモチベーションが低く, 治療が遅れることがあり残念な経過となることがある. また心臓死の多くの報告は拡張相肥大型心筋症におけるものであり, 本例のように左室収縮能低下がなく突然死した報告は稀である. 本例はこれらの点で教訓的であり今回報告した.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 48 (10), 1159-1165, 2016

    公益財団法人 日本心臓財団

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