心筋梗塞急性期のPCI後にTIMI flow grade 0を呈するも, 慢性期に再灌流に成功した1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of acute myocardial infarction with no reflow phenomenon reperfused in chronic phase

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説明

症例は50歳代男性. 2日前に胸背部痛や嘔吐, 意識消失発作があり近医受診. 心電図でII, III, aVFのST上昇がみられ, 急性心筋梗塞の診断で当科紹介された. 緊急冠動脈造影 (coronary angiography ; CAG) で#1 100%, #7 75%, #8 90%であり右冠動脈に経皮的冠動脈形成術 (percutaneous coronary intervention ; PCI) を施行. ガイドワイヤーを#4PD末梢まで進め, 最初に光干渉断層法 (optical coherence tomography ; OCT) で#3末梢から冠動脈内を観察した. ガイドワイヤーは真腔を通っており, 血栓による閉塞所見があったため, 血栓吸引を行った. #1~#4PDまでのflowが得られたが, その後#2~#3にバルーン形成術 (plain old balloon angioplasty ; POBA) を施行したところno reflowとなった. 血管内超音波 (intravascular ultrasound ; IVUS) で確認後#3~#1にステントを留置したがThrombolysis in Myocardial Infarction (TIMI) flow grade 0のままであり, 血栓吸引やニコランジルおよびニトロプルシドを冠動脈内注入したが再灌流は得られなかった. その後, 右室梗塞による心不全を起こし, 一時人工呼吸器管理を行った. 第31病日に心臓カテーテル検査を施行. 冠動脈造影では#1よりTIMI flow grade 0であることは変わらなかったが, 回旋枝から#4AVに側副血行路を認めたため, 冠微小循環が回復している可能性があり, #1に対してPCIを施行. #4AV~#1にバルーン拡張を行ったところ, 順行性のflowが得られたため, #1と#4AVにステントを留置し良好なflowを得た. 急性期にTIMI flow grade 0となったが, 慢性期に再灌流に成功した症例であり報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 46 (6), 757-765, 2014

    公益財団法人 日本心臓財団

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