悪性症候群を契機に発症したカテコラミン心筋症の1例

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タイトル別名
  • Catecholamine induced cardiomyopathy due to a neuroleptic malignant syndrome: A case report

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説明

カテコラミン心筋症は比較的稀な疾患であり, 褐色細胞腫や脳血管疾患などとの合併報告は散見されるが, これまで悪性症候群との関連報告を認めない. 今回われわれは悪性症候群を契機に発症したと思われるカテコラミン心筋症の1例を経験したので報告する. 症例は62歳, 女性. パーキンソン病にて40歳代より加療中であり, L-DOPA, ドパミン受容体作動薬およびドパミン遊離促進薬にてコントロール良好であった. 2007年10月, 感冒を契機に食欲不振となり, 内服不可能となった数日後, 胸を押さえてうずくまっている所を家人に発見され当院救急外来に搬送された. 搬送時, 意識混濁と四肢振戦および筋固縮, 37.9℃の発熱を認め, さらに血液検査でCK 2,137 IU/Lと増加していたことから, 抗パーキンソン病薬中断に伴う悪性症候群と診断した. しかし胸部不快感に加え心電図で完全左脚ブロックを認め, さらに血液検査でトロポニンIが0.11ng/mLと増加していたことなどから虚血性心疾患の合併を疑い緊急カテーテル検査を施行したところ, 冠動脈造影では有意狭窄を認めなかったが, 左室造影で全周性の壁運動軽度低下を認めた. 心筋障害の原因として, 入院時のカテコラミン値が著明高値であったこと, さらに入院時に認めた心筋障害が対症療法にて約1週間後に改善したことなどから, 悪性症候群を契機に発症したカテコラミン心筋症と考えた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 41 (7), 776-782, 2009

    公益財団法人 日本心臓財団

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