ST上昇とJ波,左心機能低下を認めた敗血症性ショックの1例

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タイトル別名
  • A case of ST-segment elevation, J wave and left ventricular dysfunction during septic shock

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説明

症例は,81歳,男性.2011年7月に転んで右肘と左膝に怪我をし,その後両部位が腫脹.38℃の発熱をきたしたため当院に来院した.来院時血圧が57/37mmHgとショック状態であり,心電図ではⅠ,Ⅱ,aVL,aVF,V2〜6でST上昇,Ⅱ,Ⅲ,aVF,V4〜6でJ波,心臓超音波検査で左室駆出率35%と左室壁運動のび漫性低下を認めた.心筋炎による心原性ショックを疑い直ちに大動脈内バルーンパンピング(intra aortic balloon pumping;IABP)を挿入し,緊急カテーテル検査を施行した.検査中に徐々にSTは基線に戻り,造影時の冠動脈に有意狭窄を認めず,左室造影では左室駆出率が58.8%と改善していた.右肘と左膝の圧痛を伴う境界明瞭な紅斑,腫脹から蜂窩織炎に続発した敗血症性ショックと診断し,輸液,ドパミン,ノルエピネフリン,メロペネムなどで薬物加療を行った.入院時のプロカルシトニンが11.5ng/mLと高値であり,また肘,膝の紅斑は皮膚科で丹毒と診断された.敗血症性ショックでは心電図変化をきたすことが知られているが,ST上昇とJ波の出現は稀であり報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 44 (8), 1068-1073, 2012

    公益財団法人 日本心臓財団

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