テフロンキャピラリーチューブによるオンライン濃縮を利用する陽イオン性金属キレートのフローインジェクション分析

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タイトル別名
  • Flow injection analysis of cationic metal chelate ions by an on-line concentration method using a Teflon capillary tube.
  • テフロン キャピラリー チューブ ニ ヨル オンライン ノウシュク オ リヨウ スル ヨウイオンセイ キンゾク キレート ノ フローインジェクション ブンセキ

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抄録

固相抽出分析法の一種であるテフロンキャピラリーチューブを抽出場とする選択的金属キレートの濃縮定量法が開発された. テフロンチューブ表面は疎水性化合物の吸着場として知られているが, アルカリ溶液で処理された表面は陽イオン性化合物又は著しく分極した分子を吸着する能力を有する. これを利用することにより正に帯電又は分極した金属キレートは選択的に吸着濃縮される. また, テフロン表面の吸着サイトは弱アルカリ溶液で増大することから最適pHは8以上になる. このことは加水分解しやすい金属キレートの濃縮を避けることができ, この点でも選択性は改善されている. 結果として正に帯電又は分極し, 更に弱アルカリ溶液中で安定な, 鉄, コバルトのアゾ化合物が濃縮化学種として選定された. アゾ化合物はPANと (5-Br-PSAA) が使用された. 6mのテフロンチューブ (内径0.5mm) を使用し, あらかじめ調製された金属キレートの5分間濃縮により検出限界は鉄イオンで0.05ppb (Fe-5-Br-PSAA), コバルトイオンで0.08ppb (Co-5-Br-PSAA) と0.3ppb (Co-PAN) が実現できた. 定量範囲は濃縮時間により0.1~100ppbの範囲で調節できた. 標準的条件でそれぞれの定量範囲はコバルト (Co-PAN) で0.6~50ppb, コバルト (Co-5-Br-PSAA) で0.3~10ppb, 鉄 (Fe-5-Br-PSAA) で0.1~10ppbであった. 本法は水道水中の鉄の定量に応用された.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 50 (11), 739-745, 2001

    公益社団法人 日本分析化学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (27)*注記

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