アーベリアン・ドミナントな系でのクォークの1体ポテンシャルの導出及びハドロン構造(QCDとハドロン物理の新展開,研究会報告)

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タイトル別名
  • アーベリアン・ドミナントな系でのクォークの1体ポテンシャルの導出及びハドロン構造
  • アーベリアン ドミナント ナ ケイ デ ノ クォーク ノ 1タイ ポテンシャル

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抄録

QCDの非摂動論的現象に対するアーベリアン・ドミナンスの性質を用いることにより、ハドロン中のクォークに対する1体ポテンシャルを導出する。格子QCDシミュレーションやRegge軌跡等の研究によりクォーク・反クォーク間に働く静的2体ポテンシャルとしてクーロン+線形ポテンシャルが与えられている。さらに't Hooftの提案したアーベリアン・ゲージに基づく、最近の格子QCDの研究からアーベリアン・ドミナンスを支持する報告が提出されている。このアーベリアン・ドミナンスという性質が2体ポテンシャルに対する重ね合わせの原理を成立させ、自己無撞着な取り扱いのもとでクォークの1体ポテンシャルの導出を非常に簡単な形で可能にしている。我々はこの様にしてクォークの1体ポテンシャルを導出し、それに対するクォークの質量依存性等を議論する。軽いクォーク系では、カラー荷分布の広がりによる遮蔽効果の結果、1体ポテンシャルは短距離領域ではflatな振舞いをし、Bag模型との対応がつき、さらに長距離領域では線形ポテンシャルの様相を示し、共変調和振動子模型との対応がつく。また軽いクォーク系では、1体ポテンシャルに対して線形ポテンシャルが主要であり、モノポール・ドミナンスを示している。逆に重いクォーク系においてはカラー荷分布が局所化され、その結果1体ポテンシャルはクォーク間の2体ポテンシャルとほぼ同様な様相を示す。この系はカラー荷分布に対するクーロンポテンシャルの重要性を与えている。

収録刊行物

  • 素粒子論研究

    素粒子論研究 94 (6), F112-F115, 1997

    素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部

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