高分子量アミンによる抽出―最近の研究の進歩について―

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タイトル別名
  • The Recent Progress in Amine Solvent Extraction
  • コウブンシリョウ アミン ニ ヨル チュウシュツ サイキン ノ ケンキュウ ノ シンポ ニ ツイテ

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抄録

高分子量アミンを用いる抽出は,ウラン,トリウムなど核燃料の精製という急を要する目的の下に開発され,その後今日に至るまでに周期律表のほとんどすべてに近い元素の抽出が検討されてしまった。今日では化学分析の抽出分離に,また大学での学生実験の溶媒抽出にも使われて身近の存在となっている。それにもかかわらず,その進歩のあとをふり返ってみると,研究内容があまりにも応用面に寄りすぎて,基礎的な研究がなんら行なわれていないことに気付く。近年に至って,主として溶液化学の研究者がアミン抽出を,金属錯イオンの安定度定数や反応速度の研究などに利用するようになり,基礎的研究の不足が深刻に反省され,アミン抽出そのものを,もっと基礎的に検討しようとする気運が高まってぎた。本文はこうした動きの中で行なわれたここ数年間の基礎研究の傾向と進歩のうち, 最も中心話題である酸抽出の問題, アミン塩のアグリゲーション,およびアミンに抽出された金属イオンの有機相における存在状態などについて平易に解説したが,多少ともアミン抽出に興味を持つ研究者にとって手がかりを与えることができれば望外の喜びである。福富博

収録刊行物

  • 高分子

    高分子 17 (10), 943-953, 1968

    公益社団法人 高分子学会

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