カルミン酸染色におよぼす羊毛繊維の含有微量金属の影響

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タイトル別名
  • Effects of Trace Metals in Wool Fibers on the Dyeing with Carminic Acid
  • カルミンサン センショク ニ オヨボス ヨウモウ センイ ノ ガンユウ ビリョウ キンゾク ノ エイキョウ

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抄録

<p>これまでに,我々はヘマテインを用いて染色した同じたんばく質繊維である絹と羊毛の色目の差を見出した.この知見をきっかけとして,羊毛の染色において重要な役割を果たすとされる羊毛繊維内の細胞膜複合体(CMC)領域中の含有微量金属の役割を詳細に調べた.<br>この報告では,CMC中の微量金属イオンの影響と,染色羊毛の表面色におよぼす金属イオン種を明らかにすることを目的とし,以下のように行った.羊毛および前処理した羊毛,すなわちコルテックス細胞およびギ酸やエチレンジアミン四酢酸を用いて改質処理した羊毛をカルミン酸で染色し,表面色をK/S-λ 曲線で表し羊毛中の金属イオンの影響を調べた.その結果,微量金属イオンの影響はEDTA処理羊毛と未処理羊毛のK/S-λ曲線の波長シフトにより認められた.続いて,銅,亜鉛,鉄で先媒染した絹布を染色後pH3-9のバッファで処理し,3種の金属媒染染色絹布のK/S-λ 曲線を染色羊毛のそれと比較した.羊毛染色布のK/S-λ曲線は,3種の金属イオンの中の亜鉛媒染絹布の曲線と類似形を示した.以上の結果から,カルミン酸を用いた羊毛染色布の表面色に影響を与える微量金属イオンは亜鉛であることを明らかにした.</p>

収録刊行物

  • 繊維製品消費科学

    繊維製品消費科学 53 (5), 348-355, 2012

    一般社団法人 日本繊維製品消費科学会

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