歯性膿瘍より分離したActinomyces orisにおけるバイオフィルム性状に影響を与える遺伝子の検索・同定

書誌事項

タイトル別名
  • Identification of gene(s) associated with the biofilm formation of Actinomyces oris
  • シセイ ノウヨウ ヨリ ブンリ シタ Actinomyces oris ニ オケル バイオ フィルム セイジョウ ニ エイキョウ オ アタエル イデンシ ノ ケンサク ドウテイ

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抄録

口腔における慢性持続性感染症では,バイオフィルムを形成する細菌が原因となることがあり,バイオフィルム形成菌と病態との関連性についてはすでに明らかになっている.バイオフィルム形成の初期段階では,菌体がbioticやabioticな固相表面に付着できるかどうかが重要な因子となっている.Actinomyces属(特にActinomyces naeslundiiやActinomyces oris)は,デンタルプラーク形成におけるinitial colonizerとして重要な役割を担っていることが,最近分かってきた.本研究では,歯性膿瘍から分離した,exopolysaccharide(EPS)を持続的に高産生するバイオフィルム形成菌Actinomyces oris K20株(K20株)を用い,付着性に影響を与える遺伝子(群)を明らかにするために,K20株を対象にtransposon mutagenesisを行った.その結果,K20株よりもさらに付着性が増強し,強固なバイオフィルムを形成する1株(M5-7株)を得た.Transposon挿入変異遺伝子を解析した結果,1つのopen reading frame(ORF),K20_1782に変異が起きていることが明らかになった.このORFの機能予測を,BLAST解析,Pfam解析,およびconserved domain databaseに対するCD-Searchで行ったが,各々のデータベース上に登録されているものに有意に高い相同性を見出すことはできなかった.一方,PSI-BLAST解析によるタンパクファミリーの検索では,permeaseや膜タンパクとannotationされたcoding sequence(CDS)がみつかった.また,Phobius programによる膜貫通domainの検索結果では,8回膜貫通へリックス構造をもつことが推測された.K20_1782ORFの明確な機能は見出せなかったが,細胞膜に存在する膜タンパクとして機能している可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 73 (2), 55-67, 2010

    大阪歯科学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (38)*注記

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