試作4-META系ボンディングシステム (METAFIL I) の象牙質接着性ならびに歯髄反応について

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タイトル別名
  • Bonding Ability to Dentin and Pulpal Irritability of a New Bonding System Using the Trial Materials METAFIL I and a 4-META Bonding Agent

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抄録

UDMAをベースレジンとするMETAFIL Iと4-META methyl-methacrylateボンディング剤は, 象牙質に接着させることを目的として試作されたものである. 臨床に応用するにあたり, in vitroの象牙質接着性試験およびin vivoにおける歯髄刺激試験を行った. 使用したのは5種の酸処理剤, すなわち20%リン酸 (20-P), 25%リン酸 (25-P), 40%リン酸ゲル (40-P), 10%クエン酸-3%塩化第二鉄 (10-3), pH7.4に調整した0.5MのEDTAである. GLUMA (10% Glutaraldehyde-35% hydroxy-ethyl-methacrylate) を酸処理後のプライマーとして使用した. 4-META MMAボンディング剤の対照としてClearfil New Bondを用いた. 使用したレジンはClearfil New Bondには化学重合型コンポジットレジンのClearfil Posterior, 4-META MMAには光重合型のMETAFIL Iである. In vivoにおける歯髄刺激性試験のために, 4-META MMAボンディング剤を含有したMETAFIL Iをニホンザルの歯に填塞した. 同時にMETAFIL Iに対するコントロールとして, 同じサルに他の充填材を填入して試験を行った. 歯髄刺激性試験の評価基準として, ADA, FDI/ISOの診断法を用いた. 結果は, 以下の通りである. 1) 4-META MMAボンディング剤の象牙質に対する接着強さは, 一般的にClearfil New Bondと同等か, またはそれ以上の値を示した. 2) 酸処理剤としては40-Pと10-3が適していることが判明した. 3) プライマーとしてのGLUMAの使用は特に効果を示さなかった. 4) METAFIL I, 4-META MMA系の歯髄刺激性は, 考えられる修復象牙質の添加が, 対照に比較してやや多いようであったが, 重篤な為害作用も認められないことから, このシステムを臨床に応用しても問題はないものと考える.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 53 (3), 313-324, 1990

    大阪歯科学会

被引用文献 (1)*注記

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