鋳造用銀パラジウム合金の諸性質に及ぼす金添加の影響

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タイトル別名
  • Effects of Gold Addition for the Properties of Casting Pd-Cu-Ag Alloy

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説明

金含有量が約5%以下で, 銀とパラジウムを含む合金(以下銀パラジウム合金と呼ぶ)が市販されている.この種の銀パラジウム合金は, 12%金銀パラジウム合金に匹敵する機械的性質を持ち, 臨床使用に耐えると考えられているが, Ag-Pd合金に対する金添加の効果についてはまだ不明の点が多い.<br>このため, 金とパラジウムの和を30 wt%に, 銅と銀の和を65 wt%に一定し, 残量5 wt%を亜鉛とする12種類の(Au-)Pd-Cu-Ag-Zn合金を溶製・鋳造し, 軟化・硬化熱処理を加えた合金の機械的性質・耐変色性を調べ, 金添加の効果を明らかにしようと試みた.<br>得られた測定値をCu/AgおよびAu/Pd因子について二元配置直交分解分散分析し, 有意となった項に関する直交多項式(関数形)を求めて等値曲線を描き次の結論を得た.<br>1)軟化処理時の引張強さは, Cu/Ag量によって変化し, 銅量が増す程増加する.<br>2)硬化処理時の引張強さは, 銅と金の含有量が増す程増加する.<br>3)金を10 wt%(パラジウムを20 wt%)含み銅を15 wt%(銀を50 wt%)含む合金は, 軟化処理時の伸びが20%以上に達する.<br>4)変色試験後の明度L*は, Cu/Ag量が(13〜15)/(52〜50)の点で最大となり, 金含有量が増す程L*は大きくなる.<br>5)すなわち, Au+Pd=30 wt%とした(Au-)Pd-Cu-Ag-Zn合金において金量を増加させると, 軟化処理時の伸びが増加し, 熱処理硬化能が増大し, 耐変色性が改善される.<br>6)実験範囲内で最良の性質を持つ合金の組成は10Au-20Pd-15Cu-50Ag-5Zn(wt%)で, パラジウム・銅・銀については±2 wt%の許容範囲を持つ.

収録刊行物

  • 歯科材料・器械

    歯科材料・器械 4 (6), 730-753, 1985

    一般社団法人 日本歯科理工学会

被引用文献 (3)*注記

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