落葉広葉樹天然林のヒノキおよびスギによる人工林化が土壌微生物相および有機炭素の無機化特性に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of the conversion of the forest management type from natural deciduous broad-leaved forests to artificial Japanese cypress (Chamaecyparis obtusa) and Japanese cedar (Cryptomeria japonica) forests on soil microbial flora and mineralization characteristics of organic carbon
  • ラクヨウ コウヨウジュ テンネンリン ノ ヒノキ オヨビ スギ ニ ヨル ジンコウリンカ ガ ドジョウ ビセイブツソウ オヨビ ユウキ タンソ ノ ムキカ トクセイ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

本研究目的は,ヒノキおよびスギ人工林化による土壌の全炭素(C)量の変化の原因を明らかにすることにある。調査地は落葉広葉樹天然林伐採後に人工造林されたヒノキおよびスギ林(針葉樹林)と,天然更新した広葉樹林が同一斜面上に成立した森林である。針葉樹林の斜面上部にはヒノキが(ヒノキ林),斜面下部にはスギが(スギ林)それぞれ植栽されている。本研究では,斜面位置ごとにC動態を広葉樹林と針葉樹林の間で比較した。土壌深0-30cmにおける全C量は斜面上部のヒノキ林では広葉樹林の約0.6倍,斜面下部のスギ林では広葉樹林とほぼ同じであった。土壌中のバイオマスC量,土壌呼吸速度,微生物の加水分解酵素活性,セルロース分解能,窒素無機化量は斜面上部のヒノキ林では広葉樹林の0.3〜0.5倍,斜面下部のスギ林では広葉樹林の0.6〜1.3倍であった。これらの傾向は概ね土壌の全C量を反映していた。落葉のC無機化速度は斜面上部ではヒノキ落葉で広葉樹落葉の約1.2倍,斜面下部ではスギ落葉で広葉樹落葉の約0.8倍であった。このことから,ヒノキ落葉は斜面上部の広葉樹落葉より無機化されやすく,土壌中に有機物を蓄積されにくいこと,スギ落葉は斜面下部の広葉樹落葉より無機化されにくく,土壌中に有機物を蓄積されやすいことが考えられた。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 45 (2), 81-87, 2003

    森林立地学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (49)*注記

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