レジンの象牙質に対する接着と象牙質コラーゲンの構造変化 : 塩化第二鉄がコラーゲンに与える影響

  • 水沼 徹
    東京医科歯科大学医用器材研究所機能性高分子部門

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between Bond Strength of Resin to Dentin and Structural Change of Dentin Collagen during Etching : Influence of Ferric Chloride to Structure of the Collagen

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説明

4-META/MMA-TBB系レジンの象牙質に対する接着に関して, 象牙質コラーゲンの構造が重要な因子になっていることは既報の通りである.今回, 象牙質に対する接着における塩化第二鉄(FeCl3)の効果について, 新しい方法で調べた結果, 以下のことが判明した.象牙質コラーゲンは, リン酸やクエン酸などの酸によって変性する.しかし, 10%クエン酸-3%FeCl_3溶液(10-3溶液)は象牙質コラーゲンをほとんど変性させない.象牙質コラーゲンを60℃のトリプシン消化用緩衝液中で8時間加熱すると, ほぼ完全に変性した.60℃の蒸留水中で15分間加熱された被験象牙質に対し, 10-3溶液でエッチングして, 4-META/MMA-TBB系レジンを接着しても, 接着強さは7.5MPaが上限であった.一方, 60℃の3%FeCl3水溶液中で被験象牙質を加熱してから, 同様の接着強さを測定したところ18MPaの値を示した.これらの結果から考えて, 10-3溶液中の第二鉄イオンは象牙質コラーゲンの安定化に役立っていることが示唆された.

収録刊行物

  • 歯科材料・器械

    歯科材料・器械 5 (1), 54-64, 1986

    一般社団法人 日本歯科理工学会

被引用文献 (9)*注記

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