南伊豆の広葉樹林における乾性土壌の水分環境 : 一時的な強度の乾燥に伴う吸水性の低下とその影響

  • 梶浦 雅子
    東京大学大学院農学生命科学研究科
  • 江取 良枝
    東京大学大学院農学生命科学研究科:(現)YKK AP株式会社
  • 丹下 健
    東京大学大学院農学生命科学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Soil moisture regime of a dried forest soil in a broad-leaved forest in southern part of Izu Peninsula : Decrease in soil wettability by a temporal intense aridity and its effects on soil moisture regime
  • ミナミイズ ノ コウヨウジュリン ニ オケル カンセイ ドジョウ ノ スイブン カンキョウ イチジテキ ナ キョウド ノ カンソウ ニ トモナウ キュウスイセイ ノ テイカ ト ソノ エイキョウ

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説明

温暖湿潤な地域に分布する乾性土壌の特徴的な水分環境を明らかにするため,南伊豆の広葉樹林内で認められた乾性から適潤性の土壌について,表層と次表層との境界深度におけるマトリックポテンシャルと体積含水率を定期的に観測した。乾性褐色森林土(粒状・堅果状構造型)においては,夏の高温少雨期に土壌が-0.16MPa程度まで強く乾燥した後,降雨量に対して含水率の増加は小さく,吸水性が低下し,それに伴って水分特性曲線に履歴効果が生じた。その後冬にかけて,強く乾燥した水分環境が維持された。尾根上に位置した適潤性褐色森林土(偏乾亜型)では,夏期以降も吸水性の低下や履歴効果の発現が認められず,夏から冬にかけての著しい乾燥も認められなかった。温暖湿潤な地域での乾性褐色森林土(粒状・堅果状構造型)の生成に関して,一時的な強度の乾燥によって生じる吸水性の低下が寄与していることが示唆された。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 52 (1), 19-28, 2010

    森林立地学会

参考文献 (33)*注記

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