ニセアカシア人工林における植物種多様性

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タイトル別名
  • Plant species diversity in artificial Robinia pseudoacacia L. stands
  • ニセアカシア ジンコウリン ニ オケル ショクブツシュ タヨウセイ

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抄録

ニセアカシア林における在来植物の出現状況を評価するため,北海道空知・石狩地域において,34年生〜94年生のニセアカシア人工林9林分を対象に毎木調査,ならびに下層植生の調査を行った。その結果,各調査林分の全出現個体の胸高断面積(BA)合計(BA_<Total>)は,林齢の増加とともにとともにシグモイド型の曲線を描くような増加パターンを示したが,ニセアカシアBA合計(BA_<Rp>)に注目すると,高齢林分ではBA_<Rp>が減少した。ニセアカシア人工林内には27種の在来木本類が出現し,その最大dbhは林齢の増加とともに有意に大きくなった。そして,在来木本類の最大dbh-林齢関係は,ニセアカシアの最大dbh-林齢関係と有意に異ならなかった。この結果は,在来木本類が,ニセアカシアの植栽後早い段階で人工林内に定着し,ニセアカシアとともに大きくなった可能性があることを示唆している。一方,下層植生は全部で43種出現し,調査区あたりの出現種数は林齢の増加とともにシグモイド型の曲線を描くような増加パターンを示した。また,ササの被度が低くなるにつれて下層植生の出現種数は有意に増加した。そしてササの被度は,林分葉量と比例関係にあると考えられるBA_<Total>とのあいだに有意な負の相関が認められた。この結果から,林分の成長とともに林分葉量が増加することでササの被度が低下し,そしてそれが他の下層植生の侵入・定着を許す状況をつくっているものと推察された。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 50 (2), 125-132, 2008

    森林立地学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (39)*注記

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