南アルプス静岡地域における天然生林のニホンジカCervus nipponによる被害の事例報告

  • 門脇 正史
    筑波大学農林技術センター井川演習林:(現)筑波大学農林技術センター八ヶ岳演習林
  • 遠藤 好和
    筑波大学農林技術センター井川演習林:(現)筑波大学農林技術センター
  • 井波 明宏
    筑波大学農林技術センター井川演習林:(現)筑波大学農林技術センター八ヶ岳演習林
  • 滝浪 明
    筑波大学農林技術センター井川演習林

書誌事項

タイトル別名
  • A case study of damage to naturally regenerated forests by Sika Deer Cervus nippon in the region of Southern Japan Alps in Shizuoka.
  • ミナミアルプス シズオカ チイキ ニ オケル テンネンセイリン ノ ニホンジカ Cervus nippon ニ ヨル ヒガイ ノ ジレイ ホウコク

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抄録

2000〜2002年に南アルプスの静岡側における天然生林で,ニホンジカによる樹木への被害調査を行った。2つの調査区(20m×30m)における調査樹木121個体のうち,ダケカンバ51個体,オオイタヤメイゲツ32個体,ミヤマアオダモ20個体,ナナカマド10個体が全体の約93%を占めていた。3年間のシカの食害によるナナカマドの被害率は90%の9個体であったが,他の樹種では食害が観察されなかった。角磨ぎの被害率は,ナナカマドで90%の9個体と最も多く,次いで,オオイタヤメイゲツ34.4%の11個体,ミヤマアオダモ30%の6個体,ダケカンバ5.9%の3個体の順であった。この4樹種間で食害および角磨ぎ被害率に有意差があった。また,これらの樹種間の胸高直径に有意差がなく胸高直径階級も重複していたので,被害が樹種間の胸高直径の太さに起因していないと考えられた。食害および角磨ぎの両方がナナカマドで最も多く観察されたことより,シカがこの種を選択することが示唆された。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 49 (1), 73-78, 2007

    森林立地学会

参考文献 (19)*注記

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